アメリカの本気を見誤り、中国を「地獄」へ導く習近平の狂気

習近平は憲法を改正して国家主席の任期を廃止、終身独裁者の地位を確立したが、北朝鮮問題で米国の期待を裏切ったことから、トランプに見限られ、大々的な貿易戦争を仕掛けられた。米国の対中国貿易赤字は2758億ドル(2017年)にのぼる。中国にとっては、対米貿易戦争は圧倒的に不利な立場にあり、勝てる見込みはない。過去四半世紀にわたって中国経済の急成長を支えてきたのは、国内の固定資産投資と輸出の拡大であったが、貿易戦争によって輸出が減り、外貨準備が減れば、貿易依存度の高い中国経済の受けるダメージははかりしれない。(2016年の貿易依存度は中国33％、日本25％、米国20％)中国のかかえる問題は輸出産業の失速による失業者の増加だけではない。GDP(2017年は83兆元) を大きく上回る国有企業の債務（108兆元）や GDP の 2割に達する地方政府債務の不良債権化が懸念されている。また家計債務の対 GDP 比が近年急速に伸びて約半分になったが、家計債務の半分以上は不動産ローンである。不動産バブルがはじければ、金融危機の発生は避けられない。そして今年に入ってから大手外資の中国撤退の動きが加速している。外資の撤退は失業問題を悪化させる。失業者の大量発生は社会的不安を増幅させる。中国はいよいよ正念場を迎える。本書はわが国のマスコミが触れない中国の国内情報がいろいろ載っていて興味深い。例えば、▪ AI内蔵の監視カメラが2億台以上設置され、警察官は顔認証機能つきのゴーグルを装備、犯罪者データベースに登録された顔を瞬時に割り出すことができる。▪ 共産党が殺したい人間は、そのまま殺されるしかない。▪ 習近平の「掃黒除悪闘争」の本当の狙い。▪ 北京市は中心部に住む数十万の農民工と家族を強制的に追放した。行き場のない大量の流民発生は天下大乱の前兆。▪ 各地で退役軍人の抗議活動が拡大。▪ 結婚できない「余剰男3400万人」の悲劇。▪ 年金制度の絶望的な実態。▪ 世界一の受験大国の悲惨な現状。▪ 中国の通信機器メーカーの致命的弱点。